四、うつ病の診断
四、うつ病の診断
四、うつ病の診断
うつ病の診断ではアメリカ的な操作的診断方法が頻用されるようになっています。以前、わが国の精神医学はドイツ流精神医学の影響を深くうけていました。それはじっくり患者さんを診て精神病理を把握し診断する方法でした。発症の状況因はどうか、性格因はどうか、内因性か、などが検討されました。
アメリカのDSMというのは○○症状がいくつあるから○○病に該当する、という操作的なやり方で、統計をとって科学する方法には適しています。そのクスリが効くか効かないか、を判別するには適しています。しかし医療の方法は薬物療法のみではありません。DSMの操作的方法には何かが欠落しているように思われます。
ここでは参考までに「大うつ病性障害」のアメリカ流の診断基準(DSM-Ⅴ)の概要をあげておきます。
以下の症状のうち、少なくとも1つある
1 抑うつ気分
2 興味または喜びの喪失
3 食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4 不眠あるいは睡眠過多
5 精神運動性の焦燥または制止
6 易疲労性または気力の減退
7 無価値感または過剰(不適切)な罪悪感
8 思考力や集中力の減退または決断困難
9 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図、自殺計画
上記の症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり、2週間にわたっている症状のため著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。
これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。