十 うつ病の薬物療法
十 うつ病の薬物療法
十 うつ病の薬物療法
脳の神経細胞は情報をやりとりするために枝を伸ばし他の神経細胞と接合して神経回路を形成しています。
脳神経細胞の枝の中を電気刺激として伝達された情報は神経の端末に到達します。
次の神経細胞との間には隙間があり電気的には連絡されていません。その神経と神経の接合部をシナプスといいます。電気刺激はシナプスで特殊な物質を放出し、相手の脳神経細胞はその特殊物資を受容することで情報は伝達されます。その物質を神経伝達物質といいます。脳内で情報を運ぶ物質(神経伝達物質)の一種にセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどがあります。
セロトニンは情動を安定化させる働きがあります。
ノルアドレナリンは覚醒水準を高め集中力を上げ、行動をひきおこす作用があります。うつ病ではセロトニンやノルアドレナリンが不足し、抑うつ気分や意欲低下、イライラや集中力の低下などが発生すると言われています。
抗うつ薬の薬理作用の原理はシナプスにおけるセロトニンやノルアドレナリンを増加させることで症状を改善させようとするものです。抗うつ薬は投与により、早ければ2週間、おそくとも4〜6週で効果がでます。12週間投与しても効果がでない場合は、そのクスリは無効と判断されます。