二、躁と鬱
二、躁と鬱
二 躁と鬱
躁病はうつ病にくらべればずっと少ない。躁病の特徴は精神運動性の昂進よりも、高揚した爽快な気分にある。躁とうつはかならずしも正反対の状態ではない。
躁うつ病は躁状態とうつ状態を繰り返す。はっきりと躁状態相とうつ状態相をくりかえすタイプ、うつ状態相が主でときに小躁状態が入るタイプなど幾つかの亜型があり、DSM-Ⅴでは「双極性及び関連障害」として整理されています。統合失調症の人は不安にかられて将来を案じますが、うつ状態では人は後悔し、取り返しがつかないと悔やんだりします。
例えば、お葬式のときにはむしろ抑うつ的になる人の方が多いでしょうが、逆に軽躁状態になってはしゃいで喪失体験から自分を無意識に守る(躁的防衛)人を観ることもあります。
躁では、いつも上機嫌で話がとめどもなく出てくる博学で社会適応した人もいれば、選挙のときだけ躁状態になるお祭り人間もいます。
しかし現代社会においては、躁状態よりうつ状態を観ることのほうが圧倒的に多いように思われます。それは現代社会が不条理で人間を疎外する息苦しい社会になりつつあることと無関係ではないように思われます。
外来診療では、疲憊性うつ病に現代社会の縮図をみる思いがします。
その三はこちら
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