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うつと不安

白峰クリニックはさいたま市にあるうつや不安の専門医療機関です。

うつ病とは

抑うつ気分、何をしても楽しくない、何にも興味がわかない、疲れているのに眠れない、一日中眠い、イライラして落ち着かない、思考力が落ちる、消えたい気持ちになる、などの状態がしばらく続いている状態をいいます。仕事や家事ができなくなったり、外に出られなくなったりするなど生活に支障が起こってきます。

1.うつ病セルフチェック
2.うつ病時の睡眠について
3.うつ病の治療方法
4.うつ病の治療期間と治療経過
5.うつ病の再発
6.ご家族の方へ

うつ病は、おおざっぱな数字ですが、我が国の疫学調査で生涯有病率は約5%、20人に一人が一生のあいだにかかります。かつて巷では「ウツは心の風邪」などといわれ、風邪のように軽い心配のいらない病気というイメージが振りまかれたことがありました。抗うつ薬のみで回復する軽症の「うつ病」もあります。しかし一筋縄には回復しないうつ病も少なくありません。

1.うつ病セルフチェック

Q:最近ストレスが多く、落ち込み気味で気力がありません。これは「うつ」でしょうか?
A:ストレスが溜まってくると、本人も知らず知らずのうちに、心や体の不調があらわれます。
以下のセルフチェックでまずは現在の状況を確認してみましょう。

□ 気分が沈んでいる
□ 興味がわかず、楽しめない
□ 食欲の低下(増加)、体重の増減などがみられる
□ 寝付けない、夜中や早朝に目が覚める
□ 動作や話し方が遅い、またはイライラし、落ち着きが無い
□ 疲れを感じたり、気力がわかなかったりする
□ 自分には価値が無い、または生きていて申し訳ないと感じる
□ 仕事や家事に集中したり、何かを決断したりすることができない
□ この世から消えてしまいたいと思うことがある

3項目以上あてはまった場合はうつ病の可能性があります。
早めに医療機関にかかられることをお勧めします。

2.うつ病時の睡眠について

うつ病を発症すると、まず分かりやすい症状として、睡眠の変化があります。「朝早く目覚める」「寝ようとしてもなかなか眠れない」などの症状があらわれるようになります。睡眠がうまく取れないため、日中はぼーっとしてしまい、仕事が手につかなかったり、ミスを重ねたり、疲労からイライラしたりなど、日常生活に影響がではじめます。睡眠不足から自分を責めたり、マイナス思考になったりするので、さらにうつ病が悪化させてしまいます。そこで、薬物療法の場合、抗うつ薬とともに睡眠薬を処方するケースもあります。

3.うつ病の治療方法

基本的なうつ病の治療方法として、「休養」「薬物療法」「精神療法」「リハビリテーション」と4つの柱があります。
 
①休養
うつ病の治療に最も大切なことは、心と体の十分な休養です。
自宅で休養する際、できるだけ普段のように過ごすのが良いのですが、うつ病の場合、気分の落ち込みがあるため、倦怠感やひどい疲労感を感じ、意欲が低下している状態です。やりたくないことは無理してやらず、家でのんびりとごろごろしている方が良いでしょう。「ごろごろしている自分はダメな人間だ」と思うこともあるかもしれませんが、実はそれもうつの「症状」なのです。たまには、散歩など軽い運動で体を動かすと気分転換になります。

休むときの環境には注意し、万が一、自宅ではのんびり休むことができない場合は、デイケアの利用や、入院してじっくり休養をとるというケースもあります。当院は入院施設がないので、入院が必要な場合は、入院施設のご紹介を行っています。
 
②薬物療法
うつ病の治療には一般的に抗うつ薬が処方されます。
抗うつ薬にはいくつかのタイプがあり、症状や状態に応じて使い分けます。うつ病ではセロトニンやノルアドレナリンが不足し、抑うつ気分や意欲低下、イライラや集中力の低下などが発生すると言われています。抗うつ薬の薬理作用の原理はシナプスにおけるセロトニンやノルアドレナリンを増加させることで症状を改善させようとするものです。抗うつ薬は飲み始めてから、早ければ2週間、おそくとも4〜6週で効果がでます。効果が現れないからといって自己判断で薬をやめてしまうと、有効性が実感できないだけでなく、急な中断によってかえって症状が重くなることもあり注意が必要です。当院では、医師が必要と判断した場合のみ、患者様の症状や状態に合わせて処方しています。状態によっては、不眠や不安に対する薬、漢方薬などを処方することもあります。
  
③精神療法/心理カウンセリング
精神療法では、医師や臨床心理士などカウンセラーが、患者様の症状・悩み・不安などを聴き、対話をしながら、患者様と一緒に問題解決の方法を探すお手伝いをしています。精神療法には、代表的なものに認知行動療法があります。これは物事の捉え方(認知)や問題となっている行動を見つめ直し、自分の陥りやすい思考や感情パターンに気づいて、心や行動をうまくコントロールできるようにし、ストレスを軽減していく治療法です。そのほか、心理カウンセリングでは、ゆっくりお話しをうかがうことでその方の回復のペースに寄り添いながら、少しずつ心身の回復にむけてリハビリを進めていきます。エネルギーがある程度回復してきたら、再発をふせぐために、自分の考え方の特徴や、対人関係の問題、生きづらさなどの振り返りを通じて自己理解をすすめる支援をしたり、ストレス対処法について必要な助言をしたりしながら、回復をすすめていくお手伝いをしています。
 
④リハビリテーション
当院ではうつ病のリハビリテーションとして、グループセラピーというグループ治療を行っています。うつ病の方、および不安障害の方も参加されております「うつと不安のデイケア」は、月曜から金曜まで日中リハビリの場を提供しています。看護師・公認心理師・作業療法士・精神保健福祉士などが、疾患や状態を的確に把握し、プログラムの中から、お一人おひとりの個性にも配慮しながら治療的にアプローチしていきます。家にいるとかえって塞ぎ込んでしまったり、家族に気を遣ってしまったりして休養できない方など、プログラムに参加することで生活のリズムを整え、ゆるやかにご自身の生活の質を向上させることができます。また、気分や症状の改善、再発予防、自己理解などを目的とするプログラムもあり、社会復帰のお手伝いをしています。

利用されている方は、当院の患者さまだけでなく、外部主治医の患者さまにも主治医を変えずにご利用いただいております。(詳しくはホームページ上のプログラム案内をごらん下さい。プログラム担当者の声を聞くことができます。)グループセラピー利用が開始されると、われわれと主治医の先生との連携や情報交換をさせていただくことになります。

3.うつ病の治療期間や治療経過について

うつ病の治療は、治療をすればすぐに良くなるというような治療ではありません。良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、徐々に改善していきます。
治療期間は、前駆期を経てうつを発症し、うつが進行していくと「急性期」となり、そこから治療が始まることが多くみられます。症状がよくなってくると「回復前期」へと進み、安定した状態が続くと「回復中期」「回復後期」と回復していきます。

回復前期:強い抑うつ状態から少し軽くなってきます。心身の抑制がとれてきますが、不安が起こったりします。この時期はまだ休息を必要とします。ゆるやかなリハビリを開始します。

回復中期:動けるようになってきて、ご本人によくなってきた感覚が感じられます。少し調子が高くなってしまう場合もあり、気分の浮き沈みが起こったりもします。この時期は、少しずつ以前の生活に戻ったときの生活リズムに戻していきます。適度に身体を動かし、ゆるやかに社会生活も取り戻していきます。

回復後期:抑うつ感や意欲の低下、疲労感など、心身の症状がよくなり、落ち着きやゆとりがでてきます。この時期から、再発予防策に取り組んだり、復帰後のストレスに対して現実的な対処を考えたり、社会復帰に向けて取り組んでいきます。

それぞれの時期に、医師や担当スタッフは、患者様の状態をみながら治療を行っていきます。以前のような元気な状態に回復するまで、医師の指示に従って治療を継続することがとても重要になります。

5.うつ病の再発

うつ病は、一旦良くなったと思っても再発しやすい病気です。
例えば、薬物療法の場合、状態が良くなったからといって、薬の量を自己判断で減らしたり、やめたりすることは大変危険です。状態が良くなっても、薬をしばらく服用することで再発を防げます。
再発を防止するためには、医師の指示に従って治療を続けることです。一旦良くなっても、その後再発したかもと感じたら、早めに医師に相談することが大切です。

6.ご家族の方へ

ご家族の方がうつ病になったら、まずは安心して休めるよう協力してあげてください。安心できる空間でゆっくり休むことは、うつ病から回復するために大切なことです。また、本人が話をしたいようでしたら、話を聞いて寄り添ってあげましょう。その際、頑張るように励ましたり、無理にアドバイスをしたりすることは避けた方がよいと言われています。なるべく、今までと変わらない態度で接することで本人は安心します。
また、うつ病の傾向がみられて受診してないご家族がいらっしゃいましたら、医療機関へ行くことを勧めてみてください。精神科や心療内科を受診する際は、できればご家族の方も一緒に付き添って来られることをお勧めします。ご本人では気づけない症状などをご家族から医師にお伝えいただくことで、より的確な診断をすることができます。うつ病は一進一退をくりかえしながら回復に向かっていきますので、本人の変化にご家族の方が一喜一憂せず、長い目でそっと見守り、支えていけるとよいと思います。そのためにも、ご家族自身が心身の健康を崩されないようにしていくことも大切です。
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